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水彩紙が裏抜けしてしまいます。吸い込み不良を確認する方法はありますか?

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Q 水彩紙が裏抜けしてしまいます。吸い込み不良を確認する方法はありますか?
A 水彩紙の裏抜けは、サイジングの劣化が原因です。サイジングとは、水彩紙のにじみ止め(ドーサ)加工のことを言います。
サイジングが機能している水彩紙は、紙面への絵具の吸収が適度に抑制されるため発色が美しく、滲みやボカシなどの技法が効果的に表現可能です。反対にサイジングが劣化した状態の水彩紙に彩色しますと、サイジングが劣化した部分だけが絵具を弾かずに吸込むため、発色が深く濃い部分がまだらにできます。
サイジングは、紫外線や高温・湿気・カビなどの環境的な影響を受けて劣化することが分かっています。サイジング劣化は環境に左右されるため、それが製造時の初期不良であるのか、移動する過程での保管状態を原因とするものであるかは、一概に判断しかねるのが正直なところです。

お客様のアトリエでご対応頂ける対策としては、紫外線や過剰な湿気と高温状態での保管を避けていただくことが効果的です。具体的には、スケッチブックを開いたまま、放置されるだけでも紫外線(蛍光灯や日光) の影響を受ける可能性がありますのでご注意ください。また、スケッチブックに制作途中の作品はもちろん、完成した作品を一緒に綴じたままにすることは、湿気の影響を受けますので避けてください。水彩紙は生ものと考えて保管に配慮いただき、早く使い切ることが望ましいです。

なお、水彩紙のサイジングの簡単な確認方法は、ダイレクトアングル法といってスポイト等で水彩紙に水滴を垂らす方法で水彩紙の状態を確認いたします。
サイジング劣化は(広げて放置していない場合は)水彩紙の周囲より進行するので水彩紙の四隅と中央に水滴を垂らして、サイジングの状態を判断します。
水滴を横から見て、下図のようであればサイジングが正常と判断します。
水彩紙のサイジングが正常な状態の場合
また、このとき下図のような状態ではサイジングが劣化していると判断します。
水彩紙のサイジングが劣化した状態の場合
四隅の水滴が①図の状態であり、室内で30分以上 玉の状態を維持できれば水彩紙に異常はないと判断できます。サイジングの劣化が進行している場合は②図の状態から水滴がすぐに紙に吸い込まれてしまいます。
この方法は、水彩紙を傷めず簡単におおよその状態が把握できます。

 

 

 

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