透明水彩と不透明水彩(ガッシュ)との主な違いを教えてください。
Q | 透明水彩と不透明水彩(ガッシュ)との主な違いを教えてください。 |
A | 透明水彩やガッシュは、アラビア ゴムを用いた「ゴム テンペラ」のひとつで、顔料をアラビア ゴム溶液で練り上げたものです。どちらも材料自体は同じですが、顔料/固着材(糊)比が異なっています。 透明水彩は「画面から下地を透かして見せる透明画技法」に、ガッシュは「下層を覆い隠す不透明画技法」に用いられ、一般的に「ガッシュ=不透明水彩」と考えられています。 不透明水彩の方が艶のない表面発色です。 当初は練り固めたものをそのまま干して提供され、これを使用者が買い求めてアトリエで削り、水を加えて絵具にしていました。蜂蜜を湿潤剤に利用し、蛤のような二枚貝の殻に入れた品が出始めました。これだとそのまま濡れた筆で絵具が溶けるので好都合です。産業革命の時代に至り、グリセリンが豊富に出回るとこれが有効な湿潤剤に利用されるようになりました。それに呼応するかのように、今日絵具や薬の容器としておなじみの金属チューブが発明され、アラビア ゴムとグリセリンをたっぷり用いた「最初から濡れた」絵具が市場に登場しました。これが透明水彩であり、ターナーやコンスターブルが水彩画の権威として名を残したのも、産業革命の舞台がイギリスだったことと関連しています。 ガッシュは前述の原始形態の絵具の、泥絵具のような発色感を残したままで、濡れ絵具にしたものです。実際の水彩画面では、両者の併用された画面が多く認められ、それは殊に有色画用紙を用いた作品に顕著です。 |